ことば力!
最近子どもたちの語彙力の低下を指摘する声がよく聞かれます。それを特に感じるのが、話しことばです。
例えば自分にとって不都合なことが起こったり、自分が失敗したりしたとき、子どもたちはすぐ「最悪!」と叫びます。ノートを忘れても「最悪!」。消しゴムを床に落としても「最悪!」です。「しまった」や「残念」などのことばは失われ、「最悪!」だけが幅をきかせている状態です。
語彙が減ることは、表現する力が弱まることでもあり、やがて書きことばや文章力にも影響がおよびます。小学生の作文で、何を書いても「楽しかった」で終わる、ということがよくありますが、その現象はすでに中高生、いや大学生にも広がっているかもしれません。
語彙力の低下とともに気になるのは、「うっとい」「キモい」「ムカツク」など、子どもたちのことばがより鋭くなっていることです。こうしたことばで、知らないうちに友人を傷つけることもあるでしょう。テレビではバラエティー番組が増え、内容はよりオーバーに、より刺激的になっているように感じます。子どもたちの話しことばとも無縁ではないでしょう。ただ、これは最近始まったことではなく、この流れを止めることもできません。
大切なのは、身近な大人(親)がことばにもっと目を向け、子どもの日常会話が豊かになるよう心配りをすることです。そのためには、子どもの会話に無関心にならず、ときには言い換えてやることも必要でしょう。また読書などによって、自分のことばを磨くことも大切だと思います。
(2007年9月7日)