2016/09/28

国語力!

 大学入試に「共通1次試験」が取り入れられ、解答方式が記述ではなくマークシート方式になったのは昭和54年。それ以降、大学生の文章力が低下した、という説があります。

 記述を求められなくなった大学生は、いま子どもを持つ親となり、自分の子どもの記述力のなさに危機感を募らせています。近年の「国語力」ブームは、親自身の国語力不足に対する危機感の裏返しではないでしょうか。国語力の低下という現象はいま、親の世代から子の世代へと確実に受け継がれています。

 仕事も含めた生活の中で、昔ほど切実に国語力を求められることはなくなりました。たとえば、お礼状の替わりに電話やメールを差し上げても、さほど失礼ではないと考える人が増えています。

 パソコンや電子辞書には、手紙の文例のデータが入っていて、時候の挨拶から結びの文章まで、選ぶだけで大丈夫です。漢字も多少わからなくても変換してくれます。

 これらが招く、語彙力・思考力・コミュニケーション能力の低下は、近年よく目にする若者の衝動的な犯罪や学校のいじめ、犯罪の低年齢化などの問題と結びつかないでしょうか。

 生活の変化が招いた国語力不足を解消するには、生活を変化させるしかありません。家族で「ノーテレビデー」を作り、一緒に読書をする。たまにはメールではなく手紙を出す。親が子どもと一緒になって、そんな取り組みをしてみてはいかがでしょうか。

(2007年9月28日)