2017/03/01
読解力!表現力!
昨年末、2006年の「OECD生徒の学力到達度調査」(PISA)の結果が公表されました。「読解力」における日本の国際順位は、2000年の8位から、03年14位、06年15位と低下の一途をたどっています。
読解力の低下について危機感を抱く人が増え、「本離れ」や「学習時間の不足」を原因にあげる声もよく聞かれます。ところが、このPISAの実際の問題についてはあまり知られていません。「読解力」という言葉が漠然ととらえられているのです。
公開された読解力の問題の一部は、落書きについての賛否両論の手紙を紹介し、「あなたは、この2通の手紙のどちらに賛成しますか。片方あるいは両方の手紙の内容にふれながら、自分なりの言葉を使ってあなたの答えを説明してください」というものです。
これ以外にもグラフや資料から読み取って答える問題があり、学校の国語のテストとはずいぶん違っています。こういう問題に正解するには、単純な読書の力だけでなく、幅広い読み取りの力と「自分の意見を、自分で考えた表現で記述する」力が求められます。実社会でも役立つ力が求められているのです。
しかし子どもたちが、自分の意見を誰もがわかる言葉で述べる機会は少なく、仲間うちにだけ通じる言葉で感覚的にコミュニケーションをとることが多くなっているように思います。
誰もがわかる言葉でしっかり自分の意見を言わせる、これも表現力を育てる、家庭での大切な教育のひとつだと思います。 (2008年2月29日掲載)